カブトガニ血球蛋白質のLPS認識の分子機構を明らかにするために、tachyplesinIを取り上げ、まずDPCミセル中の立体構造を検討した。DPCミセル中のtachyplesinIの構造については議論中であるが、より詳細な解析を可能とするために遺伝子工学を用いた組み換え体の作成に着手し、NMR解析のための同位体ラベル試料の調製に成功した。 また、DPC存在下のtachyplesinIのHSQCスペクトルからDPCミセルとの相互作用によりtachyplesinIの構造が変化することが明らかになった。CD14、MD2については、札医大黒木教授の協力を得て精製蛋白質を得ることができた。 精製量の少ない段階で、とりあえずCDによる相互作用解析を行い、相互作用によるスペクトル変化を観測することができた。この変化の一部は結合によるロイシンリッチリピートの円弧の大きさが変化したことによると思われる。 カブトガニ血球中に見出された抗菌タンパク質tachystatinBの水溶液中における立体構造を解析し、この蛋白質が機能時に2量体を形成することを提案した(研究発表4)。 他に膜インタフェース関連の研究としては、細胞の構成タンパク質を観察するための新規の方法をGFPトランスジェニックマウスを用いた系で開発した(研究発表1)。 細胞間の情報伝達に関わっている膜タンパク質コネキシン(CX26)のN末端部分の変異(N14Y)が角膜炎や難聴の患者に多く見られることを明らかにした。また、その変異がN末端部分の運動性を変化させることがNMRを用いた解析により明らかになり、病気のメカニズムの一端を明らかにした(研究発表2)。 昆虫のサイトカインであるGBPと膜上のレセプターとの相互作用におけるGBPのN末端部分の役割を網羅的な変異体実験により明らかにした(研究発表3)。
|