研究概要 |
PFOタンパク質を用いたラフトの細分化及び構造解析に向けた試料調製の改良 従来「ラフト画分」として用いられてきた界面活性剤に不溶性の低密度膜画分から、コレステロール含有率の高い膜サブセットを分離する手法を確立した。この手法を用いてJurkat細胞から分離したBC-PFO結合性のラフト膜サブセットには、フロチリン、ガングリオシドGM1等のラフトマーカー分子の他に、Lck, LAT, PAG等のT細胞情報伝達を正・負に制御する分子群が検出された。一方、受容体刺激による活性化に伴って、BC-PFO結合性の膜領域に移行してくる分子の存在も明らかになった。 PFOタンパク質の構造及びコレステロール・脂質との相互作用様式の解析を、ドメイン4(D4)を用いて進行させた。大腸菌の菌体破砕液の不溶性画分に存在するD4を、アルギニン法によってリフォールディングする事で、これまでに100FMの濃度のD4試料を安定して調製できるようになっていた。今回さらに試料調製法の改良(凝集防止剤(本領域の群馬大学・若松先生よりご提供)の添加、リフォールディング・濃縮工程の修正、サンプル管のシリコン加工等)を行った結果、500μMの濃度のD4試料を得る事に成功した。タンパク質の安定性に関しても、調製されたタンパク質はこれまで数時間程度しか良好なスペクトルを与えなかったが、今回それを1週間程度まで伸ばす事に成功した。現在この試料を用いて3次元スペクトルの測定を行い、主鎖の帰属を進行させている。
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