研究課題
我々は、チロシンキナーゼ型膜受容体スーパーファミリーに属する上皮成長因子(EGF)受容体に、2つの活性化経路が存在することを明らかにした。本研究では、活性化経路に依存した受容体の活性化状態や情報処理機能の差異を明らかにすることを目標とする。古典的な活性化経路は、EGFの結合した受容体2分子によるホモダイマー形成、新しい経路は、第一の経路で活性化した受容体とリガンドの結合していない受容体とのヘテロダイマー形成による。本年度は来年度の本格的な計測に向けて、以下の実験系の確立と予備的な計測を行った。1.活性化経路の異なる受容体を区別する計測系の確立ガラス表面に生理機能を保ったEGF分子を固定化する方法を開発した。アミノシラン化したガラスに共有結合したEGFによって、細胞膜の受容体を活性化し、さらに細胞をセミインタクト化して蛍光標識した抗リン酸化抗体で受容体の活性化を検出することに成功した。今後、EGFの結合をパターン化して、1次的に活性化した受容体と、細胞膜自由表面に熱拡散してくる2次的に活性化された受容体の反応・構造を区別して計測することを目指す。2.受容体の機能の1分子計測活性型受容体を認識するアダプタータンパク質Grb2をリコンビナント精製し、活性を保ったまま蛍光色素Cy3で1:1標識することに成功した。これを1分子顕微鏡下で活性型EGF受容体を持つ細胞膜と反応させ、Grb2とEGF受容体の結合・解離反応を単一分子計測することができた。
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