研究課題
レグインスリン結合タンパク質(LBP)は分子量約170kDaのタンパク質で、チロシンリン酸化活性を有する。この活性は、ダイズに存在するホルモン様ペプチドであるレグインスリンの結合によって促進される。LBPは植物の原形質膜や細胞壁に局在するため、細胞内外の何らかの信号変換を行い、植物の成長や分化に関する情報伝達に関与していると考えられている。これまでにLBPの結晶化に成功し、精製法や結晶化法の改良によって、2.6Å分解能の回折強度データを収集することに成功している。そこで、平成17年度は、網羅的な重原子誘導体結晶の調製を行った。重原子同型置換法での構造解析に向けて、重原子誘導体結晶の調製を試みた。LBPはシステインを多く含み、それらの幾つかは、サブユニット内・サブユニット間のジスルフィド結合を形成していると予想されている。従って、水銀化合物、白金化合物を中心に調製を試みた。水銀化合物(4種)、白金化合物(6種)、鉛化合物(2種)、ランタニド化合物(2種)など、合計16種類の重原子化合物について濃度や時間を変化させ、結晶を浸漬した。回折強度データの収集は放射光実験施設PF BL5Aで行った。ネイティブデータに対する強度変化を求め、全ての重原子データに対してパターソンマップやプログラムSOLVE、SHELXを用いた重原子位置の探索を行ったが、位相決定に有効な重原子の結合を確認することはできなかった。しかし、幾つかの水銀化合物・白金化合物で有意な強度変化を確認することができたため、それらを中心に重原子誘導体の調製を進めていく。今後は、引き続き重原子誘導体結晶の調製を行い、重原子同型置換法での構造解析を進める。また、前述のようにLBPはジスルフィド結合を多く持つ。したがって、長波長ビームラインを利用し、硫黄の異常分散を利用した構造解析法(S-SAD)をも試みる。
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