研究課題
SRII-HtrII(2:2)複合体は高度好塩菌の細胞膜にあり、光受容体SRIIとその情報を下流に伝え、最終的には負の走光性をもたらす伝達タンパク質HtrIIの2x2の複合体である。その複合体の基底状態の結晶構造(1H2S ; Natronomonas pharaonis)は、多くの欠失部分を含む。SRIIでC端226-239、HtrIIでN端1-22、C端83-114は結晶中でモデルが存在しない。まず、膜中で安定なシミュレーションを行う基盤を作るために、SRII 226-239、HtrII 1-22、83-101のモデリングを行った。ここで、実験情報として、常磁性共鳴分光の距離情報等を拘束条件として用いた。このモデル部分はフレキシプルであることが予想されるので、複数のモデルを構築し、それらを初期構造として脂質2重膜中環境下での10nsの分子動力学シミュレーションを複数回行った。その結果、膜貫通部位における結晶構造からのずれが、2-10nsの間安定的に、1Åを切り、モデル部分に関しても常磁性共鳴分光の実験結果を満たす良好なモデル得ることに成功した。その後、HtrIIについて、単純にコイルドコイル構造を延長することでHAMPドメインまでを含むモデル構築を行っていたが、その間に相同なタンパク質のHAMPドメインの立体構造が解かれた(2ASW ; Af1503)。この立体構造は、単純なコイルドコイル構造の延長ではなく、長いループ部分を含む折り返し構造を持つものであった。そこで、それまでのHAMPドメインを含むモデルを破棄し、新たに2ASWに基づいたモデリングを開始した。まず、2ASW自体の水溶旅中の分子動力学シミュレーションを10ns行った。10ns後の構造のNMR構造からのずれがコア部分で1.3Å程度となり、NMR構造の信頼性が実証された。そこで、2ASWの構造をもとに、コイルドコイル構造の制約の下でAfl5QSとNatronomonas PharaonisのHAMPドメイン部分の配列アラインメントを行い、ホモロジーモデリングを行った。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件)
Proteins : Structure, Function, and Bioinformatics 66
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Acta Crystallographica D 63
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Biophysical Journal 92(In press)