研究概要 |
本研究では,強固な立体構造(α-helixなど)をもつペプチドから構成される独自のファージ表面提示ペプチド・ライブラリーを構築し,このライブラリーを用いて膜インターフェイスにおけるタンパク質-タンパク質相互作用を制御するリガンド分子(促進的あるいは抑制的リガンド)の新しい設計技術を開発する。 1.顆粒球刺激因子(G-CSF)受容体ペプチドのアラニン・スキャニング:平成16年度特定領域研究(公募研究:膜インタフェイス)の中で,ヘリックス・ループ・ヘリックス構造ペプチドのファージ表層提示ライブラリーの作製に成功し,顆粒球刺激因子(G-CSF)受容体を用いてスクリーニングした結果,受容体結合性ペプチドの候補を見いだした。そこで,受容体ペプチドのC-末端ヘリックス(ライブラリー面)各アミノ酸残基をアラニン残基に置換したペプチドを合成し,受容体結合活性やヘリックス構造形成における各アミノ酸残基の特性を調べた。 2.2次ファージ表面提示ライブラリーの構築:上記アラニン・スキャンニングから得られた結果にもとづき、ペプチドのC-末端ヘリックスをライブラリー化した2次ペプチド・ライブラリーを構築した。 3.2次ファージ・ライブラリーのスクリーニング:プレートに固定化した顆粒球刺激因子(G-CSF)を用いて,先のファージ・ライブラリーをスクリーニングし,受容体結合性のファージ粒子を単離した。ペプチド(P8-2)は,ヘリックス構造を有しており、受容体に強く結合することが判明し(Kd=3.15microM),親ペプチド(1AA)と比較して結合活性を17倍向上させることに成功した。 4.IL-5受容体親和性ペプチドの獲得:本手法の有用性を確認する目的で,IL-5受容体に対して本ペプチド・ライブラリーのスクリーニングを検討中である。
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