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2005 年度 実績報告書

ミトコンドリア膜を介した鉄の恒常性維特に関与するABC輸送体の構造・機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 17048033
研究機関首都大学東京

研究代表者

伊藤 隆  首都大学東京, 都市教養学部理工学系, 教授 (80261147)

キーワードABC輸送体 / ミトコンドリア / 鉄の恒常性 / ABCB6 / NMR / 膜蛋白質 / ミトコンドリア病 / ATP結合
研究概要

ミトコンドリアによるエネルギー産出機能の維持のためには,ミトコンドリア内の鉄の恒常性維持が重要である.本研究では,ミトコンドリア内の鉄の恒常性に関与する蛋白質がABC輸送体であり,FeS前駆体などのミトコンドリア膜を介しての輸送に関与している可能性が強いことに注目し,これらの蛋白質の一つであるヒトABCB6蛋白質について,主としてNMR法を用いて構造・機能解析を行うことを目的としている.
ABCB6のC末端ATPaseドメイン(ABCB6-C)について安定同位体標識試料を調製し,3重共鳴NMRの手法を用いてapo型とADP結合型の主鎖NMRシグナルの帰属を行った.apo型の解析の結果,約75%の残基について主鎖NMRシグナルが帰属された.残る25%の残基はWalker A, Walker B, D-loop, Q-loop, H-motifなどのADP/ATP結合領域と,Helicalサブドメイン(膜貫通ドメインとの相互作用に寄与すると考えられている)に局在していた.さらに詳細なNMR解析を行った結果,上記ADP/ATP結合領域, Helicalサブドメイン付近に動的な構造多形が存在し,化学交換によるシグナルの著しいブロードニングが起こっていることが示唆された.ADP存在下ではアデニン環とα/βリン酸結合領域で構造の固定化が観測されたが,他の領域では「動的構造多形性」は依然として存在していた.この現象は原核生物のABCでは示されていたが,本研究によって初めて真核生物のATPaseにも存在することが明らかになった.この「動的構造多形性」は全てのABC輸送体が共通に持つ性質である可能性が強い.動的多形性がADP/ATP結合領域のみならずHelicalドメインにも存在していることから,この性質がABCドメインと膜貫通ドメインの間のシグナル伝達機構を担っている可能性が強く示唆される.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Heteronuclear multidimensional NMR and homology modelling studies of the C-terminal nucleotide-binding domain of the human mitochondrial ABC transporter ABCB62006

    • 著者名/発表者名
      Kaori Kurashima-Ito
    • 雑誌名

      Journal of Biomolecular NMR (印刷中)

  • [雑誌論文] Design of λ Cro fold : solution structure of a monomeric variant of the de novo protein2005

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Isogai
    • 雑誌名

      Journal of Molecular Biology 354

      ページ: 801-814

  • [雑誌論文] Solution structure of the C-terminal transcriptional activator domain of FixJ from Sinorhizobium meliloti and its recognition of the fixK promoter2005

    • 著者名/発表者名
      Kaori Kurashima-Ito
    • 雑誌名

      Biochemistry 44

      ページ: 14835-14844

  • [雑誌論文] Backbone ^1H, ^<13>C, and ^<15>N assignments of a 56 kDa E. coli nickel binding protein NikA2005

    • 著者名/発表者名
      Sundaresan Rajesh
    • 雑誌名

      Journal of Biomolecular NMR 32

      ページ: 177

  • [図書] 生命秩序を担う生体超分子 蛋白質・核酸・酵素 2005年8月号増刊2005

    • 著者名/発表者名
      伊藤 隆(共著)
    • 総ページ数
      1404
    • 出版者
      共立出版

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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