研究課題
蛋白質のフォールディイングを助けるシャペロニンGroELは2層のリングからなるナノマシンである。微小管上を動くキネシンとはまったく機能が異なるが、GroELとキネシンの作用機構は思いの外、類似点がある。まず、GroELはATPによって大きく構造変化をするが、その構造変化のようすがモーター蛋白質と類似と考えられることがある。また、双頭キネシンが二つのヘッドを交互に動かしながら進んでいくように、GroELは二つのリングを交互にアクティブにしながら蛋白質のフォールディングを助ける。そのGroELの二つのリング間に仮想的にリンカーをつなげて横に並べてみる。すると、現在のGroELの作用機構サイクルはキネシンのそれと非常に似ていることがわかる。そこで、本研究ではGroELのダブルリングの意味を探りつつ、キネシンとGroELの作用機構を比較することで両蛋白質の理解を深めることを目的とする。今年度は以下のような研究を行った。1.ダブルリング構造が取れなくなるようなGroEL変異体(シングルリングGroEL)が知られている。そこで、そのシングルリングGroELを作成して、ダブルリングGroELとの比較を行った。2.GroELに基質となる変性タンパク質が結合すると、ATP加水分解のサイクルが速くなることが知られている。その機構を詳細に調べるために、ATP加水分解が遅くなったと同時にシングルリングにしたGroELを作成して、変性タンパク質の結合に伴ってATP、との親和性がどう変わるのか、などを調べた。3.GroELのはたらきを補助するGroESの機能ホモログであるGp31がどのようにGroELのはたらきを助けるのかを生化学、1分子イメージングにより明らかにした。以上のような研究を元にしてGroELとキネシンとの比較を行っている。
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