本研究の目的は、電位依存性Ca^<2+>チャネルおよびそれを取り巻くCa^<2+>シグナル複合体構成蛋白に焦点をあてて、心筋の機械的な運動を細胞表面のイオンチャネルの制御やCa^<2+>シグナル制御系ヘフィードバックする新たな高次ナノシステムの制御機構を明らかにすることである。 1.L型Ca^<2+>チャネルα_<1c>サブユニット(Ca_v1.2)の細胞接着関連蛋白を介した機能制御機構の解析:Ca_v1.2の細胞内領域との相互作用蛋白としてメカノセンサー蛋白および細胞接着関連蛋白を同定した。心筋細胞内におけるCa_v1.2との相互作用を検討した結果、細胞接着関連蛋白については免疫沈降が確認された。現在、Ca^<2+>チャネル機能および細胞内局在に対する役割を解析中である。 2.L型Ca^<2+>チャネルα_<1C>サブユニット(Ca_v1.2)のカルボキシル末端領域と特異的に相互作用するPCTP-Lの機能ドメインの同定:初年度の免疫沈降実験ではドメインを限局することができなかったので、Ca^<2+>チャネル不活性化に対する機能的影響を指標としてドメインの同定を試みた。その結果、カルボキシル末端領域が重要であることが明らかとなった。これらの成果を現在投稿中である。 3.Ca_v1.2相互作用蛋白(PCTP-Lおよび細胞接着関連蛋白)の機能的共役機構の解析:心筋細胞にフィールド刺激を与え生理的条件に近い電気的興奮とCa^<2+>シグナリングおよび収縮弛緩を起こさせた状態で培養し、PCTP-Lおよび細胞接着関連シグナル分子と細胞骨格蛋白およびCa^<2+>チャネルの細胞内局在との連関を解析したところ、PCTP-Lの細胞膜への局在および発現量が強く影響を受けることを見出した。これらの成果を現在投稿中である。 4.圧負荷肥大に伴うCa^<2+>チャネルおよびPCTP-Lの発現量変化の連関:圧負荷肥大モデルラットにおいてPCTP-Lの発現レベルが低下し不整脈が進展することを見出した。
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