研究課題
卵由来物質による精子機能調節の高次分子ナノシステムの全容を解明することを最終目標とし、平成18年度は、以下の研究を行った。1)走化性運動時におけるユウレイボヤ精子の鞭毛運動制御機構精子走化性時における精子鞭毛の調節機構の解明のため、LEDストロボ照明装置を用いた高速イメージング装置の構築及び高速度細胞内カルシウム画像解析装置の構築を行い、カタユウレイボヤ精子を用いて解析を行った。その結果、これまで誰も成功していなかった運動中精子の鞭毛内カルシウム動態の測定に成功した。そして、これまでは細胞内カルシウム濃度が鞭毛の非対称性を一意に決定していると考えられてきたが、実際はそうではなく、カルシウム濃度の変化が調節していることが示唆された。2)哺乳類精子の先体反応誘導の分子機構の解明一般的に哺乳類精子は射精された直後は受精能を持たず、雌の生殖道内を通過する間に受精能を獲得して先体反応が可能となる。一方、精子とともに射出される精漿中にはin vitroにおいて精子の受精能獲得を抑制する因子が存在することが解っており、in vivoでは卵へ到達するまでの長い時間および距離の間に精子の受精能を低く保つ働きがあると考えられている。そこでマウス精漿中よりこの受精能抑制因子の同定を行ったところ、膣栓形成タンパク質SVS2が実際にin vitroにおいて受精能抑制因子として働いていることが明らかとなった。また、このSVSは雌生殖道内を通過する過程において、その結合パターンが変化し、受精能獲得に関わっていることが明らかとなった。
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