研究課題/領域番号 |
17049023
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
植田 弘師 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (00145674)
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研究分担者 |
芳本 忠 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (60088870)
井上 誠 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 講師 (60380987)
藤田 亮介 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (70380855)
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キーワード | 神経ステロイド / 微小管制御ナノシステム / MAP2 / tubulin / 樹状突起 / X線結晶化構造解析 / FRAP / QCM法 |
研究概要 |
神経細胞は樹状突起と軸索という機能的に分化した突起を有し、神経間情報交換のため常にシナプス形成と樹状突起可変動を繰り返している。特に樹状突起は情報伝達の入力を司り、その可変動は微小管のダイナミックな変化とそれを制御するmicrotubule associated protein 2(MAP2)の働きが重要である。我々は神経内において産生される神経ステロイドの一群が、MAP2に作用し、樹状突起における微小管ダイナミクスを変化させるナノシステムの存在を見出した。そこで神経ステロイドによる樹状突起制御のナノシステムの全容解明を行ってきた。本年度はX線結晶化構造解析によるMAP2立体構造からの神経ステロイド結合部位の解析を行うため、MAP2を高収率で得られるクローンを探索・同定し、現在、X線結晶化構造解析を行うのに必要な大量発現、精製及び結晶化の最適条件を検討中である。一方、神経ステロイドによるMAP2を介した微小管ダイナミクスの解析をライブイメージング法により行うため、蛍光タンパク質融合微小管(AcGFP-TB)発現ベクターを、培養海馬神経細胞に導入した。AcGFP-TBで標識された神経細胞の樹状突起は神経ステロイド・プレグネノロン(PREG)によって伸長し、FRAP法を応用したキネティクス解析によって1.8倍の速度で重合を促進する事が証明された。一方、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)では樹状突起は退縮した。プロゲステロン(PROG)は単独では樹状突起伸展に影響しないがPREG、DHEAに拮抗的に働く事が明らかになった。これらの効果は核内受容体の阻害剤存在下においても見出された事からMAP2への直接的な作用である事が推測される。次に神経ステロイドのMAP2への結合活性をMAP2重合による濁度上昇を指標とした再構成系において解析したところPREG、DHEA、PROGにおいて同程度の活性が認められた。現在、より詳細なキネティクス解析を行うため、分子間相互作用定量水晶発振子(QCM)法を応用し、検討中である。更に、細胞内において樹状突起可変動制御を担う神経ステロイド・MAP2ナノシステムの構成分子群を網羅的プロテオミクス解析するため、Strep TagII標識MAP2タンパク質発現ベクターの作成を完了しており、培養海馬神経細胞へ発現後、免疫沈降法によってStrep TagII-MAP2と共沈してくるタンパク質のプロテオミクス解析を計画している。
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