研究課題
本研究の目的は蛍光相関分光法(FCS)とまたはさらに一歩進んだ2点同時測定FCS等を利用して、核内の分子運動の特性を解析し、これまでのイメージング手法では明らかにできなかった核の機能と密接関連したダイナミックな機構が存在する事を明らかにすることである。前年度に引き続き核内におけるGR-GFPの詳細な解析を行った。その結果、これまでに細胞質内ではDex(Dexamethasone)添加前後でGRの拡散定数に変化が生じなかったのに対し、核内ではDex添加前後で1.61μm2/sから0.27μm2/sと、拡散定数にして6倍程度遅い成分が生じることがわかった。GRは核内で転写共役因子と複合体を形成していることが知られているが、得られた拡散定数から分子量を算出したところ、今までに知られている複合体の分子量よりはるかに大きな値となった。このことはGRは転写複合体を形成するだけでなく、むしろ核内でさらに大きな構造体と相互作用していることを示唆している。さらに欠損変異体の結果は、wild type GRは核内でGRE、あるいは転写共役因子と相互作用することで比較的安定な転写複合体を形成し、最終的に二量化することで転写調節が開始されるというステップを示唆している結果を得つつある。公募班員である小布施力史博土と蛍光相関分光を用いた蛍光標識Misl2タンパク質の核内における分子動態の測定を開始した。変異体、ならびにワイルド型では細胞室内で拡散定数に変化があることを明らかにした。研究課題を遂行するためには既設の装置を利用して、測定領域を高速に動かすことで擬似的ではあるが、多点測定が可能であること、または、全反射光学系を用いて可能性があることがわかった。
すべて 2006
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