研究課題
ヘルペスウイルス潜伏感染では極限られたウイルス遺伝子発現のみが発現し所謂溶解複製遺伝子の発現を許さない緻密な遺伝子発現調節機構が存在すると考えられる。KSHVの潜伏感染状態で発現している遺伝子は基本的にはLANAを中心とする一遺伝子領域に限られている。すなわちこの領域を他の領域と隔絶する機構がはたらいているものと考えられる。この機構はβグロビンサブタイプの遺伝子発現制御機構を説明するインスレーターという概念を導入することで説明されうる。果たしてKSHVにはこのインスレーターが実在するかどうかについて検討した。インスレーター近傍に存在すると考えられるDNaseI高感受性領域を検討し潜伏感染発現遺伝子領域K12-(OriLyt-R)-vFLIP-Kcyc-LANA上流(溶解複製遺伝子K14-vGPCRの領域に相当する)にこれを検出した。またこの領域のエンハンサン-活性には方向性がありK14-vGPCRには伝わらないことが判明した。この領域を細分化しエンハンサーブロツキングアッセイ等で実際にインスレーター活性を担うシスエレメントの同定、またこの領域に結合する蛋白因子の同定することによりその実態に迫る実験が進行中である。K12-(OriLyt-R)-vFLIP-Kcyc-LANA遺伝子領域上流に相当するK14-vGPCR領域にはDNaseI高感受性領域が存在し所謂インスレーターの存在が示唆された。現段階ではK12-(OriLyt-R)-vFHP-Kcyc-LANA遺伝子領域上流のみを解析しているが同様の領域が下流域にも存在しインスルレーターとして機能することで潜伏感染発現遺伝子領域を形成しているものと考えられた。
すべて 2006
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