研究課題
我々は神経細胞の遊走障害による滑脳症と、より重症な滑脳症、顔面奇形などを特徴とするミラー・デッカー症候群の分子機構の解明に取り組んできた。滑脳症/ミラー・デッカー症候群の遺伝子はヒト染色体17番の短腕に位置するが、ゲノム解析の結果から同領域は種間を越えて高度に保存されていることがわかった。滑脳症の原因遺伝子・LIS1のノックアウトマウスの解析から、LIS1は神経細胞の遊走だけでなく細胞分裂にも重要な役割を果たしていることがわかった。さらにLIS1はLIS1結合タンパク質であるNUDELと共にダイニンを制御し、細胞分裂時の染色体移動をコントロールしていることがわかった。また、滑脳症/ミラー・デッカー症候群の領域にある他の遺伝子14-3-3eはNUDELと結合し、LIS1、NUDELと共に細胞分裂をコントロールし、ノックアウトマウスの解析から核移動の修飾因子であり、ミラー・デッカー症候群の有力な候補遺伝子であることを明らかにし、ミラー・デッカー症候群の責任領域にある遺伝子・Mntはがん遺伝子のMycの制御を介して、細胞周期の制御・がん化にかかわる遺伝子であることを解明した。NUDELのノックアウトマウスの解析からNUDELも神経細胞の遊走だけでなく細胞分裂と微小管のコントロールに必須であることを明らかにした(Mol.Cellular Biol.2005)。また、NUDELの微小管再編における標的分子としてカタニンを同定した(Human Mol.Genet.2005)。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Human Molecular Genetics 14
ページ: 3113-3128
Mol Cell Biol. 25
ページ: 7812-7827