研究課題/領域番号 |
17050027
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
今本 尚子 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 主任研究員 (20202145)
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研究分担者 |
高木 昌俊 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 研究員 (60324779)
武内 桂吾 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 基礎科学特別研究員 (10392101)
舩越 智子 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 協力研究員 (90318460)
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キーワード | 核膜孔複合体 / 核内膜 / A-type lamin / Emerin / B-type lamin / 細胞周期 |
研究概要 |
核膜孔複合体のダイナミクスが何らかの細胞核機能を反映する可能性にはじめて着目して解析を進めた。HeLa細胞の核表面に存在する核膜孔の分布を調べると、驚くべきことに、ある細胞では核の表面積の40%をも占める大きな領域に、核膜孔が全く存在しない"pore-free"領域があることを見いだした。別の細胞では核膜孔は均一に分布していた。この分布の違いが何によるものなかを調べるため、様々な細胞周期マーカー(Ki67、PCNA、CENP-F)を用いて、細胞周期進行に応じた核膜孔複合体の分布の変化を調べた。その結果、"Pore-free"領域は細胞周期進行に伴ってG1-S期にかけて徐々に解消されることがわかった。核膜上の"Pore-free"領域の構造基盤を知る目的で、様々な核内膜タンパク質の局在を、核膜孔複合体の局在と比較しながら調べた。その結果、"Pore-free"領域にはLamin A/Cや、それと結合するエマリンが特異的に濃縮されていることが判明した。一方、Lamin Bは"pore-free"領域から排除されていることがわかった。Lamin A/CをsiRNAでknock downすると、"Pore-free"領域が消失した。エマリンにはこのような影響が見られなかった。一方、lamin Aを過剰発現すると、"Pore-free"領域が新たに誘導されることを確認した。このことから、A-type Laminは核膜孔の分布を制御することで"Pore-free"領域形成に重要な役割を果たすことが明らかになった。細胞周期依存的な核膜孔複合体の分布の変化は他のヒト癌細胞や正常2倍体細胞でも観察され、いずれの細胞においてもLamin A/Cが"Pore-free"領域に濃縮されていることを確認した。HeLa細胞で見られた現象が、ヒト細胞に普遍的であると考えられる。
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