研究課題/領域番号 |
17050027
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
今本 尚子 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 主任研究員 (20202145)
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研究分担者 |
高木 昌俊 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 先任研究員 (60324779)
武内 桂吾 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 基礎科学特別研究員 (10392101)
大木本 圭 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 基礎科学特別研究員 (20415102)
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キーワード | 核膜孔複合体 / 核膜 / 核内膜 / 細胞周期 / photo-bleaching / 膜貫通型核膜孔複合体構成因子 / pom121 / siRNA |
研究概要 |
核膜孔複合体は、核膜上の最も顕著な構造体として観察され、細胞質と核をつなぐ分子流通の場として機能している。核膜孔を可視化してその挙動を調べると、分布と数が細胞周期に依存して規則的に変化することを見いだした(Maeshima et al.,2006)。本年度は、核膜孔複合体の挙動の変化が見られるG1初期に着目して、複合体形成過程をliveで捉えることのできる実験系の樹立を試みた。また、核膜と複合体本体をアンカーするPom121の核膜孔複合体形成における役割について解析した。Live観察に関しては、細胞融合法、photo-conversion法、並びにphoto-bleach法を試したが、Nup133-Venusの安定発現株を用いて、操作性の良いphoto-bleach法で、核膜孔形成過程を捉えることに成功した。複合体形成はG1〜S期にかけて観察された。正確な形成時期について、現在詳細な解析をおこなっている。 Nup133は核膜孔複合体の土台となる構成因子の1つであることが知られており、複合体形成の良い指標になる。もう1つの複合体形成の要の因子として、核膜と複合体本体を繋ぐ膜貫通型構成因子が考えられる。その1つであるPom121をクローニングし(データベース上にヒト全長遺伝子が存在しない)、性状解析を行った。Pom121をsiRNAで検出不可のレベルまで除去すると、核膜上の核膜孔複合体そのものが消失した。一方、同じPom121をわずかに検出できる程度に除去すると、核膜上に存在する核膜孔複合体が凝集することが判明した。その凝集に伴って、ラミンA/Cが核膜上で凝集した。このことから、Pom121は核膜孔複合体形成に必須の因子であると同時に、核内膜タンパク質と何らかの構造的繋がりのある可能性が考えられる(Funakoshi et al.投稿中)。複合体形成時の核膜の性状解析の新たな指標となる。
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