研究課題
PE合成の律速酵素であるCDP-エタノールアミン合成酵素(ECT1)の変異株について、以下のことを明らかにした。(1)null変異であるect1-6変異をホモにもつ胚は8細胞ステージまでに致死となることを明らかにした。また、ect1-6胚をとりまく胚乳の核が肥大することを明らかにした。一方、ECT活性が野生型の42%まで低下したect1-4は、23℃での植物体の成長は野生型とほとんど変わらないが、胚の成長は野生型よりも明らかに遅れることを明らかにした。(2)ect1-4/ect1-6F1植物の葉身、茎及び根の顕微鏡切片を観察した結果、細胞数の減少、細胞分裂パターンの乱れ、細胞伸長の低下、細胞間隙の減少および細胞肥大が観察された。以上の結果は、ECT活性の低下は、細胞分裂、細胞伸長、細胞間隙形成、細胞壁の合成に異常を起こすことを示唆している。(3)ECT1-Enhanced Yellow fluorescence Protein(EYFP)キメラタンパク質を発現するシロイヌナズナを作出し、ECT-EYFPの蛍光がMitoTracker^<【○!R】>Red CMXRos蛍光と一致すること、すなわち、ECT1はミトコンドリアの膜(おそらく外側)に局在することをあきらかにした。(4)ect1-4を8℃、短日条件あるいは連続光条件いずれでも、植物体が矯小化することを見出した。一方etc1-6ヘテロ植物は同じ条件でも矮小化しなかった。この結果は、ect1-4変異は低温感受性変異でもある可能性が示唆された。これらの植物は低温でのPEの機能を調べるにあたってよい材料になると期待される。
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Plant Cell Physiol. 47
ページ: 154-163
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ページ: 1741-1746