オオムギのマイクロアレイを用いて日周性を持つムギネ酸分泌による鉄獲得に関与する遺伝子群の解析を行った。詳細は現在解析中であるが、ここから、鉄欠乏誘導性、日周性を指標として解析することで、効率よく関連遺伝子の解析が可能となることが期待される。オオムギ以外のイネ科植物では、ムギネ酸顆粒は確認されていなかったが、鉄欠乏処理条件下のイネにおいてもムギネ酸顆粒の存在することが確認された。OsNAS2のプロモーターにOsNAS2のORFをGFPとつないだものを導入したイネをCarl Zeiss LSM510 METAを用いることにより詳細に解析した。融合タンパク質は、発現したすべての部位において顆粒状に観察されるのではなく、根の一部の細胞において顆粒状に観察されたことから、ニコチアナミン合成酵素のみがムギネ酸願粒の形成のトリガーとなるのではなく、他にも顆粒形成の因子となるタンパク質が存在することが示唆された。また、蛍光が細胞質内を動いている様子も観察され、今後鉄欠乏に応答したムギネ酸顆粒の形成過程を詳細に明らかにできると考えられる。ムギネ酸生合成経路のうち、デオキシムギネ酸を生成する過程を触媒する酵素、デオキシムギネ酸合成酵素の遺伝子の単離に成功した。これによりムギネ酸類の生合成に関わる全ての酵素の遺伝子を単離できたことになる。GFPあるいは抗体を用いてこの酵素の細胞内局在を明らかにすることで、ムギネ酸穎粒の役割が更に明らかにできるものと思われる。
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