研究概要 |
シロイヌナズナ細胞膜局在型SNAREの組織特異的発現の実態 昨年までの培養細胞系における解析の結果、細胞膜は他の細胞内小器官に比べ多くのSNAREが局在する事が明らかになった。本年度はこの点に着目し、細胞膜局在性Qa-SNARE9種に関して以下の実験を行った。SNARE遺伝子の開始コドン直前にGFP遺伝子を挿入したauthentic-promoter制御発現コンストラクトを作製し、これを導入したトランスジェニック植物ラインを確立した。蛍光顕微鏡による組織別発現解析の結果、極性を持った不均一細胞膜局在性Qa-SNAREの存在が複数確認された。また、非極性SNAREも含め、その時間空間的発現の違いが示唆された。以上の結果、組織特異的な膜タンパク質の細胞膜発現様式の実態が明らかになりつつある。 高等植物特異的SNARE, SYP7sの解析 高等植物には、他の真核生物に存在しないSNARE-familyとしてSYP7-family(SYP71,SYP72,SYP73)がある。シロイヌナズナ培養細胞を用いた一過性発現系での解析ではSYP7は小胞膜に存在していたが、今回、形質転換体を用いた解析およびSYP7に特異的な交代を用いた解析では、このSNAREタンパク質は小胞体および細胞膜に存在することが示唆された。また、SYP71とSYP73の遺伝子破壊株はホモで致死であることから、このSNAREは、小胞体から細胞膜への直接的に輸送経路に関与する必須の遺伝子であることが示唆された。現在、SYP7抗体を用いてSYP7を含むSNARE複合体を単離し、質量解析によってSNARE複合体の構成要素の固定を試みている。
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