研究課題
ATP-binding cassette (ABC)タンパク質は、植物のゲノム中で120以上のメンバーを擁する大きな遺伝子ファミリーを形成している。本研究では、multidrug resistance-associated protein (MRP)ファミリーに属するAtMRP12との生理機能の解析と平行して、アブラナ科植物において重要な感染防御物質と考えられているカマレキシンの膜輸送に関するABCタンパク質の解析を行った。さらに新たな研究展開に向けた基盤構築の試みとして、マメ科のモデル植物であるミヤコグサのABCタンパク質に関しても、ゲノムワイドな情報解析を行った。AtMRP12のN-末端に存在するTOドメインをGFPに連結し、タマネギ上皮細胞を使ったパーティクルガンによる蛍光観察で、このドメインが液胞膜に局在するシグナルになっていることを示唆するデータを得た。また、根の内鞘細胞で特異的に発現が高いことを示し、タグラインは除草剤に感受性になることを明らかにした。これらよりAtMRP12は、環境毒から根の中心柱を守る働きをしている可能性が示唆された。カマレキシンの輸送体に関しては、バイオインフォマティクスによる絞込みを試みた。シロイヌナズナにおいて協調的発現遺伝子群の探索データベースATTED-IIを用い、カマレキシン生合成最終段階を担うP450(CYP71B15)と発現相関の高い遺伝子を検索したところ、AtPDR12が最も相関の高い遺伝子であることが判明した。AtPDR12は病原菌感染応答への関与が示唆されており、カマレキシン輸送体である可能性が高いと考えられたモデル植物のミヤコグサのABCタンパク質ファミリーをゲノムワイドに解析した所、70%のカバー率(ESTの90%)の配列から、91個のABCタンパク質遺伝子を見いだした。マメ科植物としての本ファミリーの特徴が、PDRメンバーの重複性の高さにあることを見いだした。
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植物の生長調節 (印刷中)