オルガネラ輸送や原形質流動に関与するミオシンXIのオルガネラ識別や結合部位は、ミオシン重鎖C端尾部鎖域に存在すると考えられている。シロイヌナズナのミオシンXIであるMYA2の重鎖C端尾部鎖域と相互作用する成分を、シロイヌナズナ根のライブラリーを用いた酵母ツーハイブリッド法を用いて検索を行った。その結果、2種の低分子量GTP結合タンパク質Rabに属するAtRabC2aとAtRabD1が検出されてきた。そして、それぞれのRabタンパク質とMYA2のC端尾部鎖域を大腸菌で発現させたリコンビナントタンパク質を用いて、タンパク質レベルでの結合実験を行った結果、両Rabタンパク質共に、結合性は低いがGTP依存的にC端尾部鎖域と相互作用することが明らかになった。またhbタンパク質の結合に必要なC端尾部鎖域は、2種のRabタンバク質で異なっていた。次に、細胎内における両Rabタンパク質の局在を解析した。両Rabタンパク質の一次構造はよく類似しているため、それぞれのRabタンパク質や他のRabタンパク質を特異的に識別する抗体の作成は不可能であると考えた。そこでGFP-ペルオキシゾームが発現しているシロイヌナズナ葉肉細胞に、YFPを連結させたRabタンパク質を35Sプロモーターによってトランジェントに発現させた。その結果、YFP-AtRabD1は細胞質全体に分散していたのに対し、YFP-AtRabC2aはGFP-ペルオキシゾームと共局在していた。以上の結果から、AtRabC2aを介してMYA2がペルオキシゾームに結合することが示唆された。現在、本当にAtRabC2aがペルオキシゾームに存在しているのかどうかを、ペルオキシゾーム両分を調製してそこに含まれる成分をMS/MS分析によるプロテオーム解析によって確認しているところである。
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