研究課題/領域番号 |
17051031
|
研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
鈴木 邦律 基礎生物学研究所, 分子細胞生物学研究部門, 助手 (20373194)
|
研究分担者 |
吉本 光希 基礎生物学研究所, 分子細胞生物学研究部門, 特別協力研究員 (40399316)
藤木 友紀 基礎生物学研究所, 分子細胞生物学研究部門, 特別協力研究員 (00414011)
|
キーワード | オートファジー / ATG遺伝子 / 老化 / 花粉管形成 / シロイヌナズナ / 液胞 / 過敏感細胞死 / ユビキチン様タンパク質 |
研究概要 |
出芽酵母ではユビキチン化に類似した2つの反応系(Atg8システムとAtg12システム)がオートファジーに必須であることが知られている。我々はシロイヌナズナのATG遺伝子T-DNA挿入変異体を用いて、Atg8システムが植物オートファジーにも必須であることを示してきた。本年度はATG遺伝子の解析をさらに進めることによりAtg12システムがオートファジーに重要な役割を果たしていることを明らかにした。また共同研究を通じてシロイヌナズナATG12の結晶構造を解くことに成功した。これらの結果は出芽酵母を用いた研究にフィードバックされ、オートファジーの分子メカニズムを解明する上で重要な情報になるであろう。 また、V-ATPaseの阻害剤であるコンカナマイシンAをシロイヌナズナの葉に処理することにより、葉において初めてオートファジーをモニターすることに成功した。ATG遺伝子破壊変異体の葉はオートファジー能を欠損していることが示され、葉におけるオートファジーが葉細胞の生存に重要であることが明らかとなった。この結論は接ぎ木実験によっても支持された。オートファジー能を欠損した変異体は、富栄養条件下であっても老化が早まることが知られている。加えて、変異体においては病原菌抵抗性反応における過敏感反応細胞死の進行が早いことも分かった。これらの結果を考え合わせると、オートファジー能欠損植物では野生型に比べて速やかに細胞死が起こっているようである。植物にはプログラムされた細胞死に必要な(液胞を積極的に崩壊させる)何らかの因子が存在しており、オートファジー能が欠損しているとその因子が分解されず蓄積することにより細胞死が速やかに起こるといった図式が推測される。
|