1)新潟市白根由来のXX雄の原因遺伝子が連鎖群8にあることは判明していたが、その後、多数の個体を用いたファインマッピングを行い、原因遺伝子の存在領域が3.1cMの範囲に絞り込まれた。現在性分化関連遺伝子の消長を主としてin situ hybridization法により検討を行っているが、XX雄で発現低下している可能性のある遺伝子が認められており、原因遺伝子領域と発現低下遺伝士の関係を含め、現在さらに検討を進めている。また、同じ地点で見いだされたXY雌については、性決定遺伝子DMYの発現低下に起因することが示されてきたが、その変異DMYを持つ個体が雄になるか雌になるかについては、常染色体上の遺伝子が関与する可能性があることが示唆されていた。遺伝解析、及びそこでの"表現形としての雌"に連鎖する染色体領域の特定を試みた結果、連鎖群4にその性転換に関わる主要因子があることが判明した。現在、領域の絞り込みを進めている。 2)メダカとハイナンメダカの種間雑種では、近交系メダカHdrRを用いた場合には全ての個体が雌になるのに対して、HNI系統を用いた場合には一部のXY個体が雄になる。HdrRとHNI個体の交配個体とハイナンメダカの雑種の性を指標として、HdrRとHNIとの雄出現の有無についての系統差の原因遺伝子を探索したところ、連鎖群17に原因遺伝子があることが判明した。そこで、BACライブラリーを用いて染色体歩行を行い、メダカゲノム情報と併せて解析を行い、原因遺伝子の所在を数cMの領域にまで特定することができている。その領域については、HdrR系統についてはメダカゲノム情報で全塩基配列が定められていることから、今後、候補遺伝子のリストアップと絞り込みを行っていく予定である。
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