研究課題
[1]マウス脳の発達・性分化に伴うDNAメチル化情報解析:前年度までに、エストロジェン受容体ERαとアンドロジェン受容体ARの解析を終了し、脳領域特異的発現状況を反映したメチル化パターンを得た。本年度はERβとプロジェステロン受容体PRとグルココルチコイド受容体GRの解析を引き続き進行し、いずれも雌雄特異的な使い分けが扁桃体にあることを明らかにした。[2]核内受容体遺伝子座位から発現する内在性非翻訳RNAの単離同定と組織学・生化学的解析/in vitro、in vivoの系における非翻訳RNA導入によるDNAメチル化改変と表現系解析:前年度までに全長の取得に成功したERα、PR、ARの内在性アンチセンスRNAについて、時期・領域特異性を発達にしたがって解析し、新生児期に発現性差が形成されていることを明らかにした。取得した非翻訳RNAの発現ベクターを用いて、トランスジェニック動物作製し、配列特異的DNA脱メチル化/mRNA発現上昇/性行動異常を示した。CAGプロモーター制御下にARas・ERαasを全身性に強制発現するトランスジェニックマウス(ARas-Tg・ERαas-Tg)を作製したところ、遺伝子特異的脱メチル化/mRNA発現上昇が認められた。サイズに性的二型性のある神経核について、正常成体のメチル化性差は、ERαでは分界条床核がARでは腹内側核に認められ、いずれもメスで高メチル化状況にあった。ARas-Tgメスでは腹内側核がオス様に拡大していた。これらのTgメスには妊性があるが、いずれもメス型の性行動であるロードシスを殆どせず、特にARas-Tgメスについてはオス型の性行動であるマウンティング行動も頻繁に観察された。したがって、ERαas・ARasは個々のコード遺伝子の発現を介して構造的・機能的脳性分化に関与することが示唆された。
すべて 2007 2006
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化学と生物 45
ページ: 211-218
Encyclopedic References of Genomics and Proteomics ISBN 978-3540309543
DNAメチル化研究法 ISBN 4-7622-3052-9
ページ: 55-62, 62-70, 85-93, 105-107, 138-148