研究課題
生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンの制御機構における性差を明らかにするために、成熟動物の脳内において主な抑制性伝達物質であるGABAに着目して検討を行った。その結果、GABAおよびGABA_A受容体のアゴニストであるmuscimolにより細胞内カルシウム濃度の上昇がみられ、GABA_A受容体のアンタゴニストであるbicucullineで反応が阻害されたことから、GABAがGnRHニューロンでは興奮性に作用していること、さらに、雌では90%のGnRHニューロンが興奮性を示すのに対して、雄では50%のみであり、興奮性を示すGnRHニューロンの割合には性差があることが明らかになった。また、興奮性を示すGnRHニューロンの割合には日内変動があることや、性周期に伴う変動があることがわかった。発達に伴うGABA応答の変動を調べたが、発達段階ではGABAの反応に性差はみられなかった。GnRHニューロンでみられるGABA応答の変動は細胞内Cr濃度のレギュレーターであるKCC2の機能発現の変動である可能性が考えられたため、KCC2の機能制御機構の検討を行ったところ、KCC2はC末端にチロシンキナーゼのリン酸化部位が一カ所存在するが、この部位への変異の導入によりKCC2が機能しなくなることや、C末端領域の欠失によりKCC2が機能しなくなることが明らかになった。次に、GnRHニューロンが示すCa^<2+>オシレーションにおけるGABAの役割について検討を行ったところ、GABAによりCa^<2+>オシレーションの同期が増加することがわかった。さらに、GnRHニューロンに投射しているGABAニューロン終末からのreleaseを調べたところ、雄に比べて雌の方がspontaneous IPSCのfrequencyが高いこと、すなわちGABA releaseが多いことが明らかになった。
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Journal of Neuroscience 27(7)
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