研究課題
26Sプロテアソームは分子量2.5MDaの巨大なプロテアーゼであり、750kDa、28サブユニットからなるタンパク質分解酵素20Sプロテアソームを中心に、分子量700kDa、16種類以上のサブユニットからなる制御因子複合体PA700が20Sプロテアソームの両端に2分子会合し超分子複合体を形成している。26Sプロテアソームはユビキチンの付加された細胞周期制御タンパク質や変性タンパク質を認識し特異的に分解する役割を担っており、巨大な複合体を形成することで特定タンパク質だけを、ATPを利用し高次構造をほどきながら効率よく分解する。本研究では26SプロテアソームのX線結晶構造解析による立体構造の解明とその機能の解析を目指し、遺伝子組み換えを行った酵母を用いて26Sプロテアソームの発現、精製、結晶化を行った。26Sプロテアソームは多数のサブユニットからなる超分子複合体であるため、カラムクロマトグラフィーを繰り返し行う通常のタンパク質精製方法では複合体からサブユニットが解離してしまうため、結晶化に不可欠な均一な精製タンパク質を得ることは困難である。そこで、プロテアソーム制御因子複合体PA700のサブユニットにFLAGタグを付加した遺伝子組み換え酵母を使用することで迅速な精製を可能にし、また立体構造解析において高熱菌タンパク質を用いた研究が通常の酵素より安定性が高いことから頻繁に行われていることを考え、耐熱性酵母を用いた26Sプロテアソームの発現システムを使用した。この発現系により培養した酵母からFLAGタグによるアフィニティーカラムと陰イオン交換クロマトグラフィーにより高純度にタンパク質を精製し、このサンプルを用い現在、結晶化のスクリーニングを行い、結晶化条件を探索している。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Journal of Molecular Biology 355(4)
ページ: 612-618
日本結晶学会誌 47
ページ: 197-203