研究概要 |
本年度(〜平成18年3月31日)の研究実施計画 ・転写因子Foxo1のユビキチン化による分解制御と,CBP依存的なアセチル化・Sir2依存的な脱アセチル化による転写抑制・活性化作用について明らかにしてきた. (1)インスリン刺激に応じたFoxo1の細胞内局在変化とアセチル化レベルを,生化学的および蛍光抗体法で解析し,PKBによるリン酸化とCBPによるアセチル化の時空間的関連を明らかにした.その結果,アセチル化が亢進すると標的DNAから乖離が進み,リン酸化が亢進して細胞質へと移動していくことが解明された. (2)Sir2によるFoxo1の転写活性化は,Sir2の脱アセチル化機能に依存していることが判明した.また,CBP-Sir2-Foxo1が免疫沈降法によって共存することも明らかになり,アセチル化-脱アセチル化のスイッチング機構の重要性が示唆された. ・EWSのArgメチル化に関し,以下の研究を実施した. (1)EWSの結合因子として,Argメチル基転移酵素の候補因子PRMT1を同定している.そこで,PRMT1〜PRMT8の各種メチル化酵素もEWSのRGG boxに作用するかin vitroのメチル化アッセイにより検討した.その結果,PRMT1に加えて,PRMT8も同等にメチル化を促進することが明らかになった. (2)(1)非メチル化EWS変異体のコアクチベーター活性の検討,(2)PRMT1またはPRMT1メチル基転移活性欠失変異体の過剰発現,(3)Argメチル化酵素阻害剤のEWSコアクチベーター活性への影響をレポーターアッセイにより検討した.その結果,メチル化活性依存的にEWSの転写コアクチベーター機能に影響を及ぼすことが判明した.
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