研究課題
U-box型ユビキチンリガーゼであるCHIPは、標的タンパク質にユビキチンを付加することでプロテアソーム系による分解を促進することが知られている。以前の申請者の研究で、CHIPの発現量が低下すると乳がんの転移、腫瘍形成が促進することを明らかにした。これまでの解析からCHIPは乳がん関連因子AIB1をユビキチン化し、分解促進することで、乳がんの転移を抑制することが明らかとなった。しかし、足場非依存的増殖の亢進が原因と考えられる腫瘍形成をCHIPが抑制するメカニズムは、依然未解明である。そこで申請者は、CHIPによる足場非依存的増殖の抑制メカニズムの解明を試みた。ヒト乳がん由来細胞株MCF-7細胞において、RNA干渉法によりCHIPをノックダウン(KD)すると、足場非依存的増殖の亢進が見られた。さらに、このCHIP KD MCF-7細胞株では抗アポトーシス因子であるBc1-2の発現がmRNA、タンパク質レベル両方で著しく増加していた。また、CHIP KD MCF-7細胞でさらにBc1-2をKDすると、足場非依存的増殖は亢進しなかった。このことから我々は、CHIP KDによる足場非依存的増殖の亢進は、Bc1-2が過剰発現することが原因ではないかと考えた。Bc1-2が増加する原因を解析するため、クロマチン免疫沈降法を用いると、CHIP KD MCF-7細胞のBc1-2転写開始点付近では、転写活性化のマーカーとなるヒストンH3のアセチル化が増加していることが分かった。また、Nuclear-Run on assayにより、CHIP KD MCF-7細胞ではBc1-2の転写が活性化していることが明らかになった。これによりCHIP KDによるBc1-2の増加は、その発現が転写レベルで活性化することが原因であると示された。
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The Journal of biological chemistry. (印刷中)(In press)
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