研究概要 |
1)転写制御因子間の会合によるエンハンセオソーム形成とその制御機構の解析 T細胞受容体遺伝子のエンハンサーに形成される転写制御因子複合体(エンハンソソーム)、Ets1-Runx1-CBFbeta-DNA複合体の分子構造をX線結晶構造解析によって、明らかにした。さらにEts1がリン酸化された状態の同複合体の分子構造を明らかにした。これらの構造を基に、Runx1, Ets1等の変異体を作製し機能解析を行い、エンハンソソームの安定化機構と、リン酸化の影響について分子レベルで調べ、リン酸化によるターゲット遺伝子の選択機構を明らかにした。 2)ヒストンシャペロン、ヒストンリモデリング因子およびヒストン修飾酵素によるヌクレオソーム構造の変換機構の解析 ACF(ISWIとACF-1のヘテロダイマー)、ACF-モノヌクレオソーム複合体、およびNAP-1-H2A-H2B複合体、NAP-1-H3-H4複合体について結晶化用の試料調製を行い、結晶化条件の探索を行っている。ヒストンアセチル化酵素P300については、HAT活性の制御領域の同定を目指して、機能解析、構造解析を進めている。 3)転写制御因子の化学修飾による活性制御機構の解析 Ets1のリン酸化が転写に与える影響を、いくつかの異なるエンハンサーを用いて、ゲルシフトアッセイおよび転写活性化実験によって調べた。Ets1のリン酸化が与える影響が、Etslと協調する転写制御因子によって異なることを明らかにした。
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