研究課題/領域番号 |
17063005
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
星野 光雄 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (40023626)
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研究分担者 |
田中 剛 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (00236605)
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 教授 (10135387)
吉田 英一 名古屋大学, 博物館, 助教授 (30324403)
束田 和弘 名古屋大学, 博物館, 助手 (80303600)
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キーワード | 考古学 / 環境変動 / 環境地質学 / 環境化学 / 年代測定 / 第四紀 / シリア / ユーフラテス河 |
研究概要 |
1.平成17年度内に計画したビシュリ山系での領域合同遺跡分布調査は、シリア側の事情による調査許可発給の大幅な遅滞から断念せざるを得なかった。研究代表者の星野は、これを補完すべく、ベルリンのペルガモン博物館および自然史博物館、ロンドンの大英博物館および自然史博物館を訪問し、ビシュリ山系の自然環境変遷・自然科学分析に関する情報収集、当該機関研究者との情報交換を精力的に行った。主な成果しては、(1)ドイツ・ゲッチンゲン大学研究者による古代遺跡出土ガラス製品の詳細な化学分析から、当時のガラス原料の調達法や製作技術の推定が可能なこと、(2)イギリス・モロッコ合同調査隊によるモロッコ古代遺跡地質層序の炭素同位体分析により、当時の古環境の推定が可能なこと、の2点である。これらは当研究班にとってきわめて有益な研究情報となる。 2.室内実験において代表者の星野は、総括班の大沼教授との共同研究として、シリアのテル・タバン遺跡の基底をなす段丘礫層の礫を岩石学的・鉱物学的に詳しく研究し、礫から得られる当時の自然環境を明らかにした(研究成果参照)。分担者の田中は、古代遺跡堆積物が示す天然放射線量の変動から当時の自然環境を解析するという新たな手法を提案し、サーベイメーターを購入して、日本の様々なフィールドでテストを繰り返した。これにより、今後の研究の興味深い展開が大いに期待できる(研究成果参照)。分担者の中村は、部族墓制比較研究班の藤井教授との共同研究として、西アジア各地の遺跡出土炭質物の^<14>C年代測定を行い、具体的な遺跡の年代を決定した(研究成果参照)。分担者の吉田と束田は、遺跡堆積物・土壌に含まれる鉱物のX線分析を精度よく行うための解析ソフトを購入し、シリアのテル・タバンと遺跡の堆積物のX線分析を進行中である。なお、室内実験の効率化を図るべく、実験補助者を雇用した。 3.領域全体の3回の研究会、シリア、米国の考古学研究者を招聘して開かれたシンポジウムにも積極的に参加し、研究討論を行った。
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