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2009 年度 実績報告書

「シュメール文字文明」の成立と展開

研究課題

研究課題/領域番号 17063006
研究機関国士舘大学

研究代表者

前川 和也  国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (60027547)

キーワードシュメール / 文字記録システム / シリア / セム / メソポタミア
研究概要

「シュメール文字文明」の拡大と展開過程という課題にかんして、シュメール語彙リスト研究(前川)、アッカド語文学テキストにおけるシュメール語(松島)、アッカド語によるシュメール語文法構造への影響(森)、メソポタミア・インダス交渉(前川・森)、イラン国立博物館(テヘラン)蔵粘土板文書調査(森、松島)といった研究が実施された。シリア各地ではシュメール語彙リストがはやくから受容された。前3千年紀では、文字記録システムを受容するにあたって、語彙リスト学習による書記養成が必須であったことが、前川によってあきらかとなった。メソポタミアとインダス間の大規模な交流が可能になったのはアッカドによるイラン地方征服によるところがおおきいことが前川と森若葉によって考察されるとともに、イラン研究者との交流が生まれ、森、松島英子によるイラン国立博物館における粘土板調査が可能となった。森と松島は、12月イラン国立博物館を実施し、今後の研究についてイラン側の全面協力の約束を得た。
前田徹は「<シュメール文字文明>世界」のなかでの宗教と王権イデオロギーの考究を継続した。前田は南部メソポタミアの都市的世界が、東方あるいは西方の人々の流入をどのように受け入れたかを克明にあきらかにすることができた。ここにわれわれは、本特定領域研究の研究対象である「セム系部族」にかんする、本格的な論考を得ることができた。また依田泉によって前2千年紀のセム諸民族の刑罰観の詳細な研究が行われた。前3千年紀から2千年紀の王権イデオロギーにかんして、前川が前田とはことなった方法論で、ウル第3王朝から前1千年紀後半にいたるまでの神と王とのかかわり、王の権能をあらわすシンボルである「棒と輪」Rod and Ringが、なにを象徴しているかを、はじめて統合的に論じることができた。これによれば、「棒と輪」はふつう説明されるように測量道具などではなく、主として異民族支配の道具として神から委譲されるのだということになる。楔形文字研究者や図像学者がながく論じて、結論を得ることに失敗してきた問題に、決定的な意義をもつ論議が生まれた。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Rod and ring::図像と文献テキスト2010

    • 著者名/発表者名
      前川和也
    • 雑誌名

      「シュメール文字文明」の成立と展開(前川編)(平成17~21年度研究成果報告書)

      ページ: 29-89

  • [雑誌論文] 王妃アビシムティと豊僥神イナンナ2010

    • 著者名/発表者名
      前田徹
    • 雑誌名

      早稲田大学文学研究科紀要 第55輯第4分冊

      ページ: 35-48

  • [雑誌論文] Gilgamesh and Agga2010

    • 著者名/発表者名
      前田徹
    • 雑誌名

      Orient Vol.45

      ページ: 61-66

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シュメール語における動詞の方向性2010

    • 著者名/発表者名
      森若葉
    • 雑誌名

      「シュメール文字文明」の成立と展開(前川編)(平成17-21年度研究成果報告書)

      ページ: 17-20

  • [雑誌論文] Notes on Plural verbal vases in Sumerian2010

    • 著者名/発表者名
      森若葉
    • 雑誌名

      Babel and Bible : (L.Kogan, et al.(eds-))(RAI 33) (印刷中)

  • [雑誌論文] 「目には目を」はセム系の原則か:古代西アジアの刑罰観の解明に向けて2010

    • 著者名/発表者名
      依田泉
    • 雑誌名

      「シュメール文字文明」の成立と展開(前川編)(平成17~21年度研究成果報告書)

      ページ: 23-28

  • [雑誌論文] 初期メソポタミアの王権2009

    • 著者名/発表者名
      前田徹
    • 雑誌名

      西洋史論叢 第31号

      ページ: 123-131

  • [雑誌論文] 天空と人間:古代メソポタミアの場合2009

    • 著者名/発表者名
      松島英子
    • 雑誌名

      天空の神話:風と鳥と星』(篠田知和基編)(楽榔書院)

      ページ: 513-524

  • [雑誌論文] メソポタミアの天空観と神話2009

    • 著者名/発表者名
      松島英子
    • 雑誌名

      アジア遊学 121号

      ページ: 37-45

  • [雑誌論文] Quelques notes sur l'episodes des "cinquante nomes de Marduk"2009

    • 著者名/発表者名
      松島英子
    • 雑誌名

      Et il y eut un esprit dans 1'Homme, Jean Bottero et la Mesopotamie(X.Faive et al.(eds-))

      ページ: 55-64

  • [雑誌論文] La lumiere et le tenebres dans la mythes mesopotamiens2009

    • 著者名/発表者名
      松島英子
    • 雑誌名

      Mythes, Symboles, Langues II(篠田知和基編)

      ページ: 55-62

  • [学会発表] Rod and ring : Insignias of foreign rule in the Ur III-OB Periods2009

    • 著者名/発表者名
      前川和也
    • 学会等名
      部族社会の形成:シリア、ユーフラテス河中流域の総合研究(特定領域研究「セム系部族社会の研究」国際シンポジウム)
    • 発表場所
      サンシャインシティー文化会館
    • 年月日
      2009-11-23
  • [学会発表] ウルク期の王権2009

    • 著者名/発表者名
      前田徹
    • 学会等名
      日本オリエント学会第51回大会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      2009-10-11
  • [図書] 「シュメール文字文明」の成立と展開(文部科学省科学研究費補助金、特定領域研究「セム系部族社会の研究」.計画研究「「シュメール文字文明」の成立と展開」平成17~21年度研究成果報告書)2010

    • 著者名/発表者名
      前川和也(編)
    • 総ページ数
      89
    • 出版者
      平電子出版(印刷)

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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