研究課題/領域番号 |
17063007
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
本郷 一美 総合研究大学院大学, 葉山高等研究センター, 准教授 (20303919)
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研究分担者 |
丹野 研一 山口大学, 農学部・生物資源環境科学科, 助教 (10419864)
那須 浩郎 総合研究大学院大学, 葉山高等研究センター, 上級研究員 (60390704)
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キーワード | 動物考古学 / 民族考古植物学 / 西アジア / ユーフラテス川 / 環境 / 生業 / 牧畜 / 遊牧 |
研究概要 |
最終年度は、遊牧を生業とする集団との関わりと、都市文明社会の成立を背景とする経済的な変化の中で、前期青銅器時代の動物・植物利用にもたらされた変化や技術的革新について、さらに研究を進め、周辺の青銅器時代遺跡に関する既存の報告と比較検討した。た。テル・ガーネム・アル・アリ遺跡から出土した動・植物遺存体の同定・分析が完了し、動植物利用と環境に関する考察ができるようになった。農耕の開始以前から都市成立の時代にいたる西アジア広域における調査により、利用された動物・植物と環境変遷の証拠が数多く得られた 今年度までの研究により、新石器時代の初期農耕集落の生業基盤に関し、利用された資源の多様性、量、等について動物質食料、植物質食料の両面から明らかにした。また、ビシュリ山系のテル・ガーネム・アル・アリ遺跡における動植物利用の詳細がわかった。この地域の前期青銅器時代遺跡の生業は、基本的には新石器時代末までに成立した定住農耕村落の資源利用の伝統を継承するものであったと考えられる。この遺跡ではオオムギが多く出土し、コムギは少ない。さらに、ブドウ、ツルナ科、アカザ科、マメ科の種子も検出された。出土した植物の種類から、遺跡周辺では灌漑農耕による塩害が進行していた可能性があること、この遺跡で家畜の糞を主な燃料としていたことなどがわかった。動物利用に関しては、ヒツジが非常に重要で、家畜は遺跡内か周辺で飼育されていたと考えられることなど、この遺跡における動物利用が自給自足的なものであることがわかった。
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