研究分担者 |
熊倉 博雄 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 教授 (00178063)
近藤 修 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (40244347)
荻原 直道 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (70324605)
中野 良彦 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 准教授 (50217808)
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研究概要 |
研究プロジェクト第3年度にあたる今年度から現地(シリア,ビショリ地域)での発掘調査が開始されることになった。そこで古人骨標本の発掘状況を把握するため,予備的な現地調査を行った。しかし,研究の主体は中近東・北アフリカ由来の古人骨の調査を海外の研究機関で行うことと,京都大学を中心に本邦に所蔵されている中近東由来の古人骨の分析を行うことであった。方法としては,海外の調査ではデジタル画像データと計測機による計測データの収集を中心とした。国内ではこれまでに京都大学に設置されているCT像撮影装置と,今年度に新しく導入した小型CT像撮影装置を用いた撮影,3次元画像再構築等を行ない,その上で頭骨形態からみた古代のメソポタミアの地域集団の変異と,それらの時系列変化を追った。その結果は公開シンポジウム「西アジア部族社会とビシュリ山系」において「メソポタミア・ハムリン遺跡群出土頭蓋骨の3次元形態変異とその時代的変遷」として発表し,論文としては人類試,Anthropological Scienceに「Geometric morphometric study of temporal variations in humancrania excavated from the Himrin Basin and neighboring areas,northern Iraq」として受理され今年中に掲載される予定である。 海外に保管されている古人骨標本の調査は大英博物館(自然史)を中心行い,画像付き標本リストの作成を始めている。さらに上の形態学的研究に加えて,メソポタミアにおけるBC2000〜3000年紀以降の人々のmtDNAの抽出を大臼歯標本を用いて試みている。この分析は遺伝子からみた集団間比較や集団形成の過程を考察する上で重要である。さらに,成長や運動機能からみた集団間変異の分析も始めている。
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