研究課題/領域番号 |
17063014
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研究機関 | (財)古代オリエント博物館 |
研究代表者 |
宮下 佐江子 財団法人古代オリエント博物館, 財団法人古代オリエント博物館, 学芸課長 (80132760)
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研究分担者 |
津村 眞輝子 財団法人古代オリエント博物館, 研究係長 (60238128)
勝木 言一郎 東京文化財研究所, 企画情報部・情報システム研究室, 室長 (50249918)
西藤 清秀 橿原考古字研究所, 埋蔵文化財部, 部長 (80250372)
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キーワード | シリア・パルミラ / セム系 / 部族制 / 葬制 / 墓室内彫刻 / ビシュリ山系 / 副葬品 / 国際情報交換 |
研究概要 |
当計画研究班はシリア北部ビシュリ山系セム系部族文化の伝統を、セム系部族社会の成立以後のオアシス都市パルミラを中心に、社会の基層にそれまでの文化伝統がいかに残存し、そして変容している点はいかなるものであるかを美術・考古学的両側面から明らかにしようとするものである。 研究代表者の宮下佐江子は、パルミラおよび北シリアにおけるテラコッタ製人物像の資料収集やパルミラの墓室内彫刻の女性像の装身具の資料収集、さらにパルミラの神殿など公共施設などから出土するテッセラと呼ばれる粘土製札の比較研究を実施し、パルミラ文化の伝播と変容を考察した。研究分担者の西藤清秀はパルミラの葬制についてこれまでの出土遺物の考察を現地において実施し、パルミラの墓室内から多数出土する土製ランプの資料集成とその考察、女性の墓の副葬品に見られる特徴の分析、パルミラの墓の内部の建築装飾、副葬品の量からパルミラ社会の経済的格差についての考察をおこなった。研究分担者の津村眞輝子は国内で文献収集、および国内に所蔵されるシリア出土ローマコインの組成分析と周辺遺跡出土コインの資料を収集し、ローマコインの分布からみたローマ帝国経済の浸透の分析を行っている。また、勝木言一郎は東アジア美術、特に敦煌壁画にみられる極楽のイメージから「永遠の家」とよばれたパルミラの墓にみられる来世観、楽園思想を中国、日本における極楽観、浄土観との比較研究をおこなった。 パルミラ研究は従来、パルミラに限定して進められてきたが、本研究は紀元後1世紀から3世紀の世界の枠組みのなかで、オアシス都市パルミラがいかなる文化を受容し育んできたか、多角的な視点から解析を試みている。
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