研究課題/領域番号 |
17064001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長尾 和多加 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00361197)
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研究分担者 |
三浦 良雄 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (10361198)
白井 正文 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (70221306)
佐久間 昭正 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (30361124)
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キーワード | 第一原理計算 / 輸送 / 表面・界面 / 磁性 / スピントロニクス |
研究概要 |
ハーフメタルをトンネル磁気抵抗(TMR)素子の磁性金属リードとしたとき、スピン反転のプロセスを考えずに伝導計算を実行すると、反平行磁化では必ず伝導が消えてTMR比が無限大になる。これは、ハーフメタルが一方のスピンに対してギャップをもつため、波動関数のつながっていくべき状態がリード内に存在しないからである。しかし現実の系ではスピン反転のプロセスが存在し、界面状態を介したトンネル伝導のためTMR比も有限にとどまる。このTMR比の過大評価は、実は通常の磁性金属リードの場合でも多かれ少なかれ起きていると考えられる。 本年度はこの困難を回避する手続を、TMR比の下限を探る方向から模索した。まずひとつは、磁性金属部分を薄くし、その外側に非磁性金属を半無限リードとして取り付けるというものである。ここではスピン反転による界面状態への電子の供給(界面状態からの電子の除去)を、非磁性金属と界面状態との電子のやり取りに置き換えている。そして磁性金属をできるだけ薄くし、電子のやり取りが極めて速やかに起きるように設定した。この手法を用いることで、ハーフメタリック・リードの場合でも有限のTMR比が求まり、また、Fe/MgO/Fe系のTMR比も通常の計算結果より小さくなることが確認できた。もうひとつの手続きは、磁性金属/絶縁層の多層膜を扱い、その交流伝導度をみるというものである。電子の往復運動を見ているため、スピン反転のプロセスを考えずとも、界面状態をトンネル伝導に十分寄与させることが可能になる。この手法をCo_2CrAl/GaAs多層膜に適用することで、(110)界面の場合にはTMR比が極めて高くなるとの予測も得られている。
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