研究課題/領域番号 |
17064008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤井 久純 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70124873)
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研究分担者 |
小倉 昌子 大阪大学, 理学研究科, 助手 (30397640)
平井 國友 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60156627)
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キーワード | 計算物理 / 計算機マテリアルデザイン / オーダーN法 / フルポテンシャルKKR法 / 量子シミュレーション / 量子デザイン / 希薄反磁性半導体 / 輸送現象 |
研究概要 |
本年度は合金・混晶系の電子状態を、グリーン関数法を用いて計算することによって、いままで第一原理計算の枠では取り扱いが困難とされてきた物質、現象を統一的な手法で議論することに集中した。このような研究が可能となった背景には、グリーン関数法を用いたフルポテンシャルコード、輸送現象コード、CPAコード等が単一のKKR法として統合されたことがある。それを用いて 1)ハーフメタリック希薄反強磁性半導体と輸送現象 2)パイライト型遷移金属カルコゲナイドの電子状態と磁性 3)キュリー温度スレータポーリング曲線 4)セーベック係数の第一原理計算 5)相互作用効果および多重散乱を考慮した原子間相互作用 6)最適化有効ポテンシャル法を用いた希薄磁性半導体の電子状態 に対する研究を行ったが、ここでは2)について述べる。パイライト型遷移金属カルコゲナイドは遷移金属およびカルコゲンを変化させることによって様々な電子状態を示すことが知られている。例えばFeS_2は非磁性絶縁体、CoS_2は強磁性金属、NiS_2は反強磁性モット絶縁体である。またCoS_2のSをSeで置換していくとメタ磁性を示すようになりやがて強磁性を消失してパウリ磁性を示すようになる。これらの性質は実験的にはある程度まとめられており、いずれも金属絶縁体転移の近傍にあって、電子相関が多様な電子状態を生み出している一群の物質と考えられている。(Fe_<1-x>Co_x)S_2および(Co_<1-x>Ni_x)S_2のキュリー温度の計算を行った。dγ軌道に入った平均の電子数nの関数として計算は実験をよく説明する。nが1を超えるあたりからキュリー温度が急激に低下するふるまいや、そのあたりでメタ磁性が出現する様子等もうまく再現される。また、SをSeで置換した計算も行ったが、キュリー温度の急激な低下やメタ磁性の出現等を説明することができた。
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