研究課題/領域番号 |
17064011
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笠井 秀明 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00177354)
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研究分担者 |
中西 寛 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (40237326)
DINO Wilson 大阪大学, ナノサイエンス・ナノテクノロジー研究推進機構, 特任助教授 (60379146)
松本 茂野 大阪大学, 大学院工学研究科, 特任研究員 (80432516)
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キーワード | 反応デザイン / 磁性 / 量子ダイナミクス / 第一原理計算 / 量子シミュレータ |
研究概要 |
昨年度、鉄(001)表面上の白金薄膜は磁化しうることを見出した。本年度は、この磁化された白金薄膜表面における酸素分子の解離吸着反応の活性を調査した。鉄(001)面の上に白金を一原子層吸着させた系に酸素分子が接近し解離吸着する反応過程のポテンシャル・エネルギー曲面を第一原理計算で調べ、有効な反応経路を特定し反応の活性化障壁を算出したところ約0.5eVであった。これは、同様の方法で調べた純粋な白金(001)面の活性化障壁1.2eVに比べ半分以下と、反応活性が飛躍的に上がることが示された。 さらに磁性制御による反応性への影響を探るため他の表面ナノ構造系を探査したところ、ニッケル(110)表面上でも白金を効果的に磁化させうることを見出した。また、磁化による反応促進効果の発現機構を演繹し一般化するため、比較対象系として、表面系に限らず、カーボンナノチューブベースのナノ構造、金属錯体分子、高分子等についても探査の範囲を拡げ調査を行った。その結果現在、白金-鉄・合金微粒子クラスタ、白金-錫-ポルフィリン錯体についても酸素分子の解離を促進する効果があることを見出した。また、他にカーボンナノチューブを形成する強固な炭素-炭素間結合を弱めチューブ構造を開く効果が、磁性表面へのカーボンナノチューブの吸着、磁性原子のカーボンナノチューブへの内包、カーボンナノチューブ壁への外部からの磁性原子の吸着等の特定の組み合わせにより生じることを見出しており、化学結合への磁性状態の効果として本研究との関連があることを見出した。これまでの成果をまとめる過程で、「スピン分極された白金を用いて反応を促進させる方法およびその利用」の発明を行い、特許出願を行った。
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