研究課題/領域番号 |
17064013
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長柄 一誠 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (10135676)
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研究分担者 |
下司 雅章 大阪大学, ナノサイエンス・ナノテクノロジー研究推進機構, 特任助教 (70397660)
小田 竜樹 金沢大学, 自然学研究科, 准教授 (30272941)
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キーワード | 超伝導 / 変調構造 / カーボンナノチューブ / 磁気異方性 |
研究概要 |
1)カルシウムの圧力誘起伝導Tcが単体元素での最高値25Kを示す原因の追求を試みた。カルシウムIV相、V相での超伝導をフォノンメカニズムと仮定し、第一原理バンド計算の手法を用いて、これらの相での電子格子相互作用とフォノンを計算し、アレンダインの公式を用いて転移温度を評価した。得られたTcはIV相では実験値に非常に近く、V相ではそれよりも下がるものの、実験値との一致は悪くなかった。この原因を調べるとカルシウムIV相V相に特徴的な、チェイン構造にありその2つのチェイン間で振動モードが振幅を交換する型のモードの寄与が大きいことがわかった。2)幾つかの単体でみつかっている、単純な変調構造の原因をさぐるため、イオン間の静電エネルギー(マーデルングエネルギー)とバンドエネギーが変調構造とその構造から変調を取り去った構造の間でどう変化するかを調べた。リンでは変調構造はマーデルングエネルギーが引き金になっており、ヨウ素ではバンドエネルギーが引き金になっていることがわかった。すなわちヨウ素では電子と格子系の相互作用が強くマーデルングエネルギーを損しても変調構造をとるがリンではこの関係が逆になっている。それにともなってリンでは変調構造が終わっても超伝導は現れず、ヨウ素では変調構造のあとで超伝導が観測されている。このヨウ素と同じ原因による変調構造はイオウ、セレン、テルルでも起こっている可能性が高く、超伝導Tcが変調構造のあとで上昇する3)種々の条件下での物性予測をめざして、欠陥を有するカーボンナノチューブの曲げ変形を第一原理計算で調べた。また4)鉄チェインの磁気異方性も研究した。3)4)では特殊な条件下での高圧物性や高圧合成における理論の予測可能性を調べる目的も兼ねている。
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