研究概要 |
芳香族炭素-水素結合の活性化に基づくケイ素化反応 1.反応条件とケイ素化剤 アラーン類の1,2-ジ-sec-ブチルー1,1,2,2-テトラフルオロジシランによる直接ケイ素化反応が、[Ir(OMeCOD)]_2および2,9-ジイソプロピル-1,10-フェナントロリンとから調製した触媒の存在下オクタン溶媒中120℃で進行し、対応するアリール型ケイ素化合物が収率良く得られることを見いだした。また、ヘテロアレーン類の1,2-ジーterトブチル-1,1,2,2-テトラフルオロジシランによる直接ケイ素化反応が、[Ir(OMe)(COD)]_2および2-ter-ブチルー1,10-フェナントロリンとから調製した触媒の存在下オクタン溶媒中120℃で進行し、対応するヘテロアリール型ケイ素化合物が収率良く得られることを見いだした。 2.反応の一般性と選択性 本ケイ素化反応は官能基共存性にも優れており、エステル、アルコキシおよびハロゲンなどを有するアレーンおよびヘテロアレーンも利用可能である。アレーンの反応における位置選択性は置換基の立体障害による影響を大きく受け、置換基のオルト立での反応は極端に遅い。このことを利用することで、1,3-二置換型および置換基が同一の1,2-二置換型アレーンで単一の異性体が得られる。五員環ヘテロアレーンの反応は、環内ヘテロ原子の電子的影響により活性化されたα位炭素-水素結合で選択的に進行する 3.有機合成への有効利用 本ケイ素化で得られたアリール型ケイ素化合物は、有機合成上有用なアリール化剤である。例えば、パラジウム触媒を用いるハロゲン化アリールとのクロスカップリングに利用することにより、対応する非対称ビアリールが収率良く得れる。また、ロジウム触媒を用いるα,β-不飽和ケトンへの1,4-付加に利用することにより、対応するβ-アリールケトンが収率良く得られる。
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