研究概要 |
これまでの研究で,ルテニウム錯体触媒の存在下,アリールピリジンとヘテロアリールブロマイドとのカップリングが進行することを見出している.ここで,2-ブロモピリジンを用いた場合,導入された2-ピリジル基が新たな誘導基として作用することが期待される.そこで,過剰量の2-ピリジルブロマイドを用い,連続的ヘテロアリール化反応を目指して反応条件の検討を行った.2-ピリジルブロマイドの添加方法として,反応を始める際に8当量を一度に加えて反応を行ったところ,ピリジル基が3個以上導入されたテトラキス(2-ピリジル)ベンゼンやペンタキス(2-ピリジル)ベンゼンの生成を確認することができたが,その量はわずかであった,そこで,2-ブロモピリジンをシリンジポンプによりゆっくりと添加し,配位子や触媒の添加量に関しても検討した結果,収率68%でペンタキス(2-ピリジル)ベンゼンが得られ,さらに,全てのC-H結合にピリジル基が導入されたヘキサキス(2-ピリジル)ベンゼンも22%得られた. 一方,ルテニウム錯体触媒とアリルアセテートの存在下に,アリールオキサゾリンがオルト位でカップリングし,2,2'-置換対称ビアリールが生成することを見出した(式3).アリルアセテートの構造が収率に大きく影響し,二重結合内部に置換基を有するアリルアセテートを用いると高収率でホモカップリング生成物が得られた.ルテニウム錯体に対する誘導基として,オキサゾリン以外にも,イミダゾール,チアゾール,オキザゾール,ピラゾールなどの五員環複素芳香環が有効であることも明らかにした.
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