研究課題
本研究は、アルケンのラジカル重合反応において、官能基選択的かつ立体選択的なラジカル付加反応を連続的に可能とする高度分子変換反応を構築し、分子量と立体構造が制御された高分子の精密合成を行い、さらに新規機能性高分子材料開発へとつながる重合反応を構築することを目的としている。本年度は主に以下の成果を得た。1.立体特異性リビングラジカル重合によるステレオグラジェントポリマーの合成立体特異性と反応性の異なるモノマーを立体特異性リビングラジカル共重合することにより、立体規則性が鎖に沿って連続的に変化するステレオグラジェントポリマーの合成に成功した。すなわち、ルテニウム錯体を用いて、水酸基を有するメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)とその水酸基がt-ブチルジメチルシリル基で保護されたモノマー(SiHEMA)を、嵩高いフルオロアルコール中で重合した。両モノマーのリビングラジカル共重合が進行し、SiHEMAはHEMAの約半分の速度で消費し、重合の進行に伴いシンジオタクチシチーが徐々に増加し、ステレオグラジェントポリ(HEMA)の合成が可能となった。2.多重水素結合によるラジカル重合の立体構造制御プロトン供与部(D)と受容部(A)をDADの順に有するアクリルアミドを合成し、これと相補的な三重水素結合を形成するADA型のイミド化合物を添加することで、高温(60℃)でもシンジオ特異性ラジカル重合が進行することを明らかとした。さらにリビング重合と組み合わせることで、分子量と立体構造の同時制御を可能とした。3.酢酸ビニルのラジカル重合における分子量、立体特異性、位置特異性の同時制御酢酸ビニルのヨウ素移動重合を種々のフルオロアルコール中で行うことにより、分子量と立体構造の制御に加え、頭-頭結合の形成が抑制され、位置選択性の制御が可能となることを明らかとした。
すべて 2007 2006
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