天然資源の乏しい我が国では、付加価値の高い新機能性材料や医農薬の創製画向けて、炭素資源の有効利用は最重要課題であろう。プロセス有機合成化学の分野においても、従来、出発原料として有効利用されてこなかった炭素化合物資源も数多く存在する。これらの炭素化合物資源を有効に利用するため、それらの高度な分子変換反応の開発など、為すべきことは多い。これからの「プロセス有機合成化学を駆使する新医農薬、新機能性材料の合理的開発」という時代の要請に応えるには、従来のやり方では間尺に合わず、プロセス有機合成化学を見据えた炭素化合物資源の高度分子変換反応の開拓に真摯に取り組む必要がある。本特定領域研究の目的は、有機合成プロセス開発に必要、かつ数十年後に残りうる真に有用な有機合成反応を新規開拓し、そこから得られた基礎研究成果を産業界の「プロセス有機合成化学」に供給する学術支援体制を早急に確立することである。そのため、第5回および第6回公開シンポジウムをそれぞれ仙台、金沢で開催し、各計画および公募研究の内容・成果を広く公開した。その際、総括班会議や計画・公募班会議を、併せて開催した。また、本特定領域研究の関連研究者を国の内外から招き、大津プリンスホテルにて国際会議を開催した。さらに、「第1回日英2国間触媒シンポジウム」や「第2回日本・シンガポール2国間触媒シンポジウム」を開催し、日本側から多くの特定班員が参加した。こういったシンポジウムの開催通知などを本特定ホームページや学会誌のみならず、日本プロセス化学会や野依フォーラムのホームページ等に掲載し、産業界にも広く情報発信した。さらに、「高度分子変換ニュースレター」を電子版で年2回出版し、班員同士の最新の情報を共有した。
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