研究課題
本研究グループ(民谷)では、バイオセンサー、チップ集積化技術、一細胞マニピュレーション技術などを駆使して、網羅的にかつ高感度に細胞シグナルなどを解析するバイオセンシングツールの開発を目指している。現在、20万個以上のチャンバーを有するマイクロアレイチップ上に、単一B細胞を80%以上の確率で展開させることができ、抗原刺激に応答するB細胞のシグナルを検出、解析することができた。さらに、プローブピンセットやナノリッターディスペンサーを用いて、一細胞の胎児有核赤血球細胞の操作およびPCR試料の導入を行うことができ、チップ上で単一細胞PCRを行うことに成功した。以上より、単一細胞のシグナル解析等を行うツールおよびシステムを構築できた。本多らは、細胞接着シグナル分子の探索のため、ペプチドアレイ技術を用い、643個の5-merランダム配列ライブラリーを作製した。ポジティブペプチドの配列データから、「P1部位(N末端1番目)のアミノ酸残基のサイズが小さく、P2部位の電荷が大きく、P4部位のサイズが小さい場合、接着する傾向にある」というアミノ酸残基のルールを発見し、GKFQ、IRRC、VKKPなど13個の新規配列を発見した。また、磁性微粒子で心筋細胞を磁気ラベルし、任意の位置に磁気誘導する技術Mag-TEを使って、心筋シートの構築に成功した。構築したシートは電気的情報伝達が可能であることを示した。神保らは、集積化電極基板上での神経細胞パターン化培養技術、形成した培養神経回路に対する多点電気刺激応答解析を進めた。具体的には以下のとおりである。カオトロピック効果を利用したアガロース薄膜のエッチングという手法を考案し、パターン化基板とパターン化神経回路形成を確認した。また、細胞接着性物質のスプレーパターニングによる微小培養領域形成と、単一細胞に近い形での細胞培養、その電気活動記録を行った。ラット大脳皮質培養神経回路に対して異なる2点から時間的に相関を持たせた電気刺激を高頻度に印加することにより、誘発応答特性が変化することを見出した。高頻度相関刺激経験後は、時間的に先行する刺激に対する応答に、他方の刺激に対する応答成分が含まれる場合があり、神経回路活動レベルでの「連想」的な振る舞いにつながる現象と考えている。小西らは、細胞吸引固定機構と計測電極を一体化したマイクロチャンネルアレイ(MCA)を基本デバイスとし、神経細胞ネットワーク解析のみならず、光信号計測技術や細胞膜穿孔技術との組み合わせによる細胞シグナル解析用ツールの新機能の設計と製作、評価に取り組んだ。
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