研究概要 |
ピリジン環直結ブタジイン誘導体として, 酸性溶液中での取り扱いが難しかった4-ピリジル体に代わり, 新たに8-(3-ピリジル)-5, 7-ヘキサジイン-1-オールを合成した。この化合物も側鎖へウレタン基を導入することで固相合成性を発現させることができた。また, 固相重合性モノマーとして知られる4BCMUに加え, そのメチレン基の一部を酸素原子で置き換えたDO-4BCMUを新規に合成し, この置換の影響を調べた。その結果, 構造の仔細な差異にもかかわらず, 結晶の構造は大きく異なっており, ポリマーの吸収も異なった。次に, 4BCMUとDO-4BCMU(3:7)の混合物を溶融状態から結晶化させたところ, 単一相の混晶の作製に成功した。このポリマーの吸収はそれぞれ単独のポリマーの吸収を加算した形状であり, 二成分の混晶においても, それらのポリマーの中間的な励起子状態はとりにくい可能性が示唆された。その他, ヘキサイン誘導体ポリマーの構造について詳細に検討した。 種々のラジカル開始剤で重合させたポリジアセチレンナノ結晶については, アニオン性界面活性剤の添加によって凝集が抑制できたことから, 次のステップとして, 基板への固定化を試みた。末端にカルボキシル基を有する水溶性ラジカル開始剤で重合したブタジインナノ結晶を作製して口別した後, DMF中に再分散させた。その中に, 末端にアミノ基を有するシランカップリング剤で表面処理したガラス基板を浸してN, N-ジシクロヘキシルカルボジイミドを縮合剤として転化して加熱したところ, 引き上げた基板は青色となった。この基板をアセトンに浸し超音波を照射しても青色は残存した。このことから, ラジカル開始剤によって重合したナノ結晶の表面にはカルボキシル基があり, それを手がかりとして, アミノ基修飾した基板上に共有結合させて固定化が可能であることが明らかとなった。
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