研究概要 |
(1) 主鎖に隣接する不斉炭素と側鎖間水素結合により安定化された置換ポリアセチレンの合成と機能評価 種々のポリ(1-メチルプロパルギル-N-アルキルカルバメート)を合成した。ポリマーは主鎖の吸収領域に強いコットン効果を示し、その比旋光度はモノマーの数十倍大きかったことから、巻き方向の片寄ったらせん構造を形成していることが分かった。測定温度を上げると、CD、UV-visスペクトルのシグナル強度が減少した。らせん構造が一部ランダム構造に転換したと推測される。ポリマーのクロロホルム溶液のIRスペクトルにおけるカルバメート基のC=0伸縮振動、N-H変角振動による吸収帯はモノマーに比べてそれぞれ低波数側、高波数側に観測され、ポリマーのらせん構造は側鎖のカルバメート基同士による水素結合によっても安定化されていることが示唆された。 (2) カルバゾール基を主鎖に有する共役ポリマーの合成と機能評価 3-エチニルー9-(4-エチニルフェニル)カルバゾールと種々のジハロアリールとの薗頭カップリング重合により、ポリ(3, 9-カルバゾリレンエチニレンアリレン)を合成した。いずれのポリマーも3-エチニルー9-(4-エチニルフェニル)カルバゾールよりも長波長側に極大吸収を示し、主鎖に共役が広がっていることが分かった。アクセプター性の強いアリレン基を有するポリマーは電荷移動に基づく蛍光発光を示した。ポリマーは9位窒素原子の酸化還元に由来する可逆的なサイクリックボルタモグラムを示した。
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