高い蛍光量子効率を有する導電性高分子を発光材料として用い、高次に構造制御された超階層構造における発光性導電性高分子の電子・光物性と発光機構の解明を目的とし、高強度発光機能の実現を目指して研究を遂行した。 導電性高分子薄膜及びその超階層構造の電子・光物性の評価を行った。特に、立体規則性の高い導電性高分子とその同素体で立体規則性の低いものの複合体薄膜を作製し、その発光特性、光学異方性、光導波路特性等の評価を行い、レーザー発振のための複合条件を見出した。また、その電気的測定により、電荷移動度を明らかにし、X線構造解析により、薄膜中の結晶構造と電気的・光学的特性の相関関係を明らかにした。 作製した導電性高分子超階層構造をリングレーザー型微小共振器とし、ピコ秒オーダーの超短パルス光励起することにより、その発光特性及び光学異方性を調べ、レーザー発振閾値以上で偏光比8以上となることが明らかとなった。また、自然放出の増幅現象あるいは超放射過程における発光スペクトル及び蛍光寿命を測定した。更に導波路モード及びウィスパリング・ギャラリーモードといったレーザーモードの観測により、リングレーザー型微小共振器構造と発振スペクトルの関係を明らかにした。 膜厚、長さ、形状といった構造のサイズ効果を明らかにし、レーザーモードの理論的な裏付けを図った。特にスパイラル型リングレーザーと導波路の結合による発光の指向性を明らかにし、FDTD法などの数値計算解析によって共振器内の内部電界強度について明らかにした。
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