研究課題/領域番号 |
17067011
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 物質科学教育研究センター, 教授 (40221197)
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研究分担者 |
中嶋 琢也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (70379543)
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キーワード | 導電性高分子 / フォトクロミック分子 / 分子スイッチング / イオン液体 / イミダゾリウム / イオノクロミズム / ソルバトクロミズム |
研究概要 |
π共役系の共役長を外場制御できれば新たな分子スイッチングや分子メモリの可能性が期待される。光レセプター機能を有するフォトクロミック分子ユニットは光照射により可逆に分子構造を変え、これに伴って分子内のπ共役系の連結様式が大きく変化することが知られている。本研究ではπ共役系からなる分子鎖にフォトクロミック分子ユニットを導入し、電子・光物性が光照射によって可逆制御可能な分子メモリシステムの開発を目的とする。 今年度はフォトクロミック分子によるπ共役系のスイッチングを分子間集積構造の光制御に適用することを目指して、反応性アリール基にイミダゾリウム基を組み込んだカチオン性ジアリールエテン誘導体の合成を行った。イミダゾリウム基は芳香族性を示し正電荷は複素環構造に非局在化しているが、その光閉環体においては芳香族性が失われ、電荷の局在化が強まることが考えられる。このためイオン間相互作用をフォトクロミック反応で制御可能であると期待できる。合成した化合物は、溶液中ならびに無溶媒状態で無色⇔赤の可逆的なフォトクロミック反応を示した。さらに、その光閉環着色化合物は溶媒変化によるソルバトクロミズムならびに、イオン性化合物添加に伴うイオノクロミズムなど多様なクロミズム特性を有することが明らかとなった。いずれにおいても明確な等吸収点が観察されることから、これらのソルバトクロミズム、イオノクロミズム特性はイミダゾリウム環における2つの窒素原子のいずれかに正電荷が局在化した二つの共鳴構造が寄与していることが強く示唆された。
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