研究概要 |
1.研究目的:14族典型元素Si,Ge,Snの階層構造により,吸収発光特性の制御をめざす。 2.平成19年度の研究経過 2-1ネットワークSi/Ge共重合体の主鎖吸収・発光特性:共重合体はn-BuMCl_3(M=Si,Ge)のNa縮合反応により得た。熱分解前の[(n-BuSi)_<1-x>-CO-(n-BuGe)_x]_n薄膜は、xの増大に伴い発光波長(360nm励起、77K)は540nm、540nm、680nmと長波長シフトした。熱分解(温度・時間)制御によりx=0.25(350℃-90分)の場合700nmに、x=0,50(300℃-90分)は730mn、x =0.75(300℃-90分)は730nmと長波長シフトした。Ge分率を最適化し350-400℃以上で熱分解すると、1100-1600nmで近赤外発光した。 2-2.n-アルキル側鎖ポリシリンの主鎖吸収・発光特性:n-アルキル側鎖ポリシリンの合成と吸収・発光特性のアルキル鎖長効果を検討した。その結果n-ブチル基の時、重量平均分子量が最大4万(ポリスチレン換算)となった。350-400nm付近に階段状の骨格吸収が発現し、440-470nmに2種類の発光帯を示した。 2-3.フッ化アルキル側鎖ネットワーク状Si重合体の主鎖吸収・発光特性:3,3,3-トリフルオロアルキル側鎖ポリシリンの合成に成功した。フッ化アルキル基により、発光効率(室温、溶液)が3%(従来1%)、水や空気の接触による劣化が改善され(1ヶ月以上殆ど変化なし、従来の非フッ化アルキル体では1日程度で劣化)、かつ450nm付近の青色発光(従来の非フッ化アルキル体では550nm付近の緑色発光)を達成した。 2-4.直鎖状14族元素高分子[n-Bu_2M]_3[M=Si.Ge.Sn]の主鎖吸収・発光特性:直鎖状重合体は対応するn-Bu_2MCl_2(M=Si, Ge, Sn)のNa縮合反応により得た。trans-zigzag構造(SiH_2)_n,(GeH_2)_n,(SnH_2)_nに対するバンド理論では、主鎖がSi,Ge,Snになるにつれ直接遷移型かつ低バンドギャップ化する。今回主鎖吸収・発光帯の低バンドギャップ化を実験的に初めて確認した。また発光強度(室温、THF溶液)は、Ge, Sn体よりも3/1000(Ge),5/10000(Sn)と大きく異なった。重原子効果によるスピン軌道相互作用の影響と考えられた。Si. Ge, Sn体の薄膜(77k)から燐光成分と考えられる長寿命成分の50-500nmの発光帯を観測した。
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