本研究では、無機ナノ構造体(無機ナノファイバー、ナノ粒子、シルセスキオキサンなど)を基盤として、共役ポリマーの形態および階層構造制御を行い、新規機能性材料の画期的な作製法を開発することを目的とする。 今年度は、無機ナノ構造体としてシルセスキオキサン誘導体、金属酸化物ナノ粒子を用い、種々の高分子マトリクス中における凝集・分散状態について検討し、表面修飾を行うことで分散性が向上することを明らかとした。また、共役系オリゴマーの階層構造についてX線回折測定を用いてキャラクタリゼーションを行うことに成功し凝集状態の決定を行った。無機ナノファイバー系に関しては、側鎖にスルホン酸塩骨格を有する共役系ポリマーとナノファイバーの複合体は3次元のネットワーク構造を形成しゲルを生成することを昨年度に見出したが、この複合対形成に関して、さらなる階層構造制御を検討した。具体的には、無機ナノファイバーと共役ポリマーの比率を変えることで、無機ナノファイバー表面への共役ポリマーの吸着を制御し、無機なのファイバーを鋳型としたアスペクト比の異なる共役ポリマーの構造体を形成することに成功した。また、スルホン酸塩骨格を有する共役系ポリマーとナノファイバーの交互吸着法に基づく階層構造の構築を試み、共役ポリマーの段階的な階層構造形成を確認した。さらに、リン酸基やホスホン酸基を有する共役オリゴマー、共役ポリマーの合成にも成功した。今後、これらの誘導体と無機ナノファイバーとの複合化に関しても、詳細を検討していく計画である。
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