研究課題/領域番号 |
17067014
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
金藤 敬一 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (70124766)
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研究分担者 |
高嶋 授 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 助手 (10226772)
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キーワード | π電子共役系高分子 / ナノ界面空乏層 / バルク電導 / 光電導 / 電解変形 / ホスト / ゲストπ共役高分子複合膜 |
研究概要 |
π共役系高分子の電子伝導特性は環境によりデリケートに変化する。異種物質との界面での電子伝導性はまた、新規機能を探索する重要な手法を与える。(1)まずπ共役系高分子を活性層とする電界効果トランジスター(FET)を作成し、FET特性の膜厚依存性を調査した。この結果から、バルク領域と界面域での電導特性の相違を比較した。特性解析から膜全体の移動度は膜厚に依存し、バルク領域でのキャリアー輸送がFET特性に大きく寄与していることが判った。(2)プラーナータイプの2電極素子は、チャネル領域の電気伝導特性を反映した電流を検出する。そこでπ共役系高分子との間でショットキー接合を形成するアルミニウムを挿入し、プラーナー型素子の電導特性を調査した。超薄膜アルミニウムは単体での電子伝導性を示さず、なおかつその電子レベルに応じた電子構造を、隣接する半導体材料との間で形成する。実際、本アルミニウムを導入したプラーナー素子は、低いチャネル電導性を示した。更に本素子は明確な光電導性を示した。従来型素子との特性比較より、アルミニウム/π電子共役系高分子ナノ界面で空乏層が形成され、チャネル電導度が低下することが示された。更にこのナノ界面は光活性であり、π共役系高分子の吸収帯の単色光照射により、明瞭な光電導性が見いだされた。以上の結果は、ナノ界面が高い光活性を有することを示唆する。(3)高分子の構造的見地から、ナノ界面での機能性を調査する為にフィルムの電解変形性を調査した。ゲストとして側鎖にスルホ基を有するπ共役系高分子をドーパントに見立て、ホストπ共役系高分子を成膜した。その結果、形成された複合膜は高い含水性を有し、ゲスト高分子の物理的特性を色濃く反映した膜となった。本手法を応用すれば、適当な側鎖を有するゲスト高分子の導入によりホストπ共役高分子の諸物性を調整することが可能となることが推察される。
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